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差戻審の判決 北朝鮮は「地上の楽園」ではない

移住を勧誘された数十万人が 人権侵害に満ちた生活

北朝鮮の「地上の楽園」キャンペーンをめぐり提訴した際、東京地裁前で支援者と共に横断幕を掲げる原告ら、2018年。 © 2018 Kanae Doi/Human Rights Watch

東京地方裁判所は1月26日、北朝鮮政府に対し、「地上の楽園」運動北朝鮮への移住を勧誘された在日コリアンおよび日本人に対する過酷な人権侵害の責任を負っているとして、各原告に2,200万円(14.2万ドル)の損害賠償を命じた。現在83歳になる川崎栄子さんほか3名の原告は2018年に訴訟を提起し、だまされて北朝鮮に渡航させられ、そこで極度に困難な生活を強いられたと主張してきた。

1959〜84 年の間に、約 9 万 3000 人の在日コリアン(在日韓国・朝鮮人)および日本人が、北朝鮮帰国事業の下で同国に移住。北朝鮮政府は、日本の北朝鮮政府系組織である朝鮮総連を主に介して、北朝鮮は居住、食糧、教育、就労が保障された「地上の楽園」であると人びとを誘惑した

被害者らは、北朝鮮に到着直後から、北朝鮮政府当局による言論・居住・学業・就労の制限、食糧の配給、日本の家族との交流の検閲など、生活のあらゆる側面を全面的に統制されたと証言する。

北朝鮮政府に対する背信を疑われた人は、強制労働施設や政治犯収容所への投獄、強制失踪、さらには死刑などの厳しい処罰にさらされた。1960年に17歳で北朝鮮に入国した川崎栄子さんは、2003年に脱北するまで43年間、北朝鮮から出国することはできなかった。

当初、東京地方裁判所は2022年、日本の裁判所の管轄権を否定するとともに、除斥期間の経過を理由に原告らの請求を棄却した。しかし控訴審の東京高裁は2023年、日本の裁判所の管轄権を肯定。北朝鮮政府は原告らの基本的権利を侵害したと判断し、訴えを東京地裁に差戻した。差戻し審では、北朝鮮政府が原告らに負う損害賠償額などが審理された。但し、判決の執行は容易ではない。また、北朝鮮政府は一連の手続きに参加しなかった。

北朝鮮は依然として世界でもっとも抑圧的な国家の一つである。2014年の国連調査委員会は、同国政府が犯した組織的な人権侵害について、人道に対する罪に該当すると認定した。本判決を踏まえて日本政府は、北朝鮮政府に対し、北朝鮮に残された帰国事業の被害者およびその家族の日本への再定住を認めるよう強く求めるとともに、北朝鮮政府の当局者の犯罪責任を問うべきだ。

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